「コンセプト」は、企画の基礎となるもっとも重要な要素です。ここでは、コンセプトの基本的な概要と、それを深堀りして本質的なコアを発見するための方法についてまとめます。
コンセプトとは、企画の方向性やテーマを明確にするための核心的なアイデアや考え方、「切り口」のことです。コンセプトは、企画全体の土台となり、その後の具体的な計画やアクションを導く指針となります。良いコンセプトは、わかりやすく、魅力的であり、ターゲット層に対して強い共感を呼び起こします。
コンセプトは、クライアント企業の商品やサービスの内容を深く理解し、例えて言えば、[温泉の源泉]を探し当てるようなプロセスです。
その商品やサービスのすべてを360度から見つめ直し、その特徴、強み、メリット、そしてベネフィットを再確認します。これにより、まだ発見されていない本質まで掘り下げていきます。
まず、クライアント企業の商品やサービスについて詳細に調査します。
これには、商品の歴史や開発の背景、顧客からのフィードバック、競合商品との比較などが含まれます。商品やサービスの独自性を理解し、その真の価値を見つけ出すためには、徹底したリサーチが不可欠です。
次に、商品の特徴と強みを洗い出します。
これには、他の商品にはない独自の機能や、特定の問題を解決する能力などが含まれます。さらに、その強みが具体的にどのようなメリットを顧客に提供するかを明確にします。例えば、時間を節約できる、コストを削減できる、生活を便利にする、気分がアップする・・・などのベネフィットです。
その後、商品やサービスの本質に迫ります。
これは、表面的な特徴やメリットだけでなく、その根底にある価値観や哲学を探る作業です。商品がどのように顧客の生活を変えるのか、どのような感情的なつながりを生むのかを考えます。このプロセスを通じて、商品の真の魅力を発見します。
商品を提供するということは、物質的なことだけではなく、精神的なことでもあります。
心と感情にどのような影響をもたらすのか?という心理学のような深い視点からの理解が、本質的なコンセプトの抽出につながります。
最終的に、これらの要素をもとに立体的なコンセプトを構築します。
このコンセプトは、商品やサービスの魅力を最大限に引き出し、顧客に強い印象を与えるものとなります。まるで温泉の源泉を掘り当て、その生命エネルギーを活かして、立体的な施設をつくり上げるようなイメージです。
例えば、だいぶ以前の話になりますが・・・
サントリーがビール産業に後発ながら新規参入して「プレミアムモルツ」を発売しました。当初はあまり売れていませんでした。さまざまなマーケティング調査が行われ、コンセプトの深堀がなされた。その再検討の結果、ユーザーがビールを飲むということは「週末の贅沢」である、というコンセプトに行き着いた。このコンセプトをもとに、キャッチフレーズにも活かし、テレビCMを中心に広告展開を実施したところ、売上が急増していき、現在のポジションを確立するに至っています。
コンセプトのコアは、その企画の最重要な部分であり、深堀りして発見することで、企画の成功につながります。以下の方法を用いて、コンセプトの本質に迫ります。
これにより、クライアント企業の商品やサービスの本質を捉えた魅力的なコンセプトを作り上げることができます。
次に、ターゲットとなる顧客層を詳細に理解します。彼らのニーズ、希望、行動パターンなどを分析し、共感を得られるコンセプトを考えます。
市場の動向や競合他社の状況を調査し、現在のトレンドやギャップを把握します。これにより、独自性のあるコンセプトを構築するためのヒントを得られます。
コンセプトは企画の生命線であり、その基礎をしっかりと築くことで、後のプランニングや実行段階での成功が期待できます。